平成22年(ワ)第23130号事件
原 告 野島クリニック院長こと野島尚武
被 告 新潟県 他1名
準備書面2
平成23年1月14日
東京地方裁判所
民事第6部係 御中
原告訴訟代理人弁護士 今 井 隆 雄
第1 被告の再求釈明に対する釈明
1 1(1)ア)について
被告は「捜索差押令状の請求に係る、どの供述調書の、どういった供述内容に違法性があるのか、また、その他令状申請の書類とは何か、どの書類の、どういった内容が違法と言うのか」を述べるよう求める。
新潟県警が原告の家宅捜索押収差押を命令する裁判所捜索令状を提示しながら捜索が始まったことについて、相当な違法行為がなければ新潟での違法行為の捜索が東京の原告にまで及ぶ筈がないと考え、裁判所に提出した代理店長容疑者に対する薬事法違反につき、捜索押収差押令状の請求書の内容とそれにつき発布した裁判所の命令乃至決定内容及びそれらの記録調書(執行調書を含める)の提示を求めたところ、北川捜査代表は「薬事法の表示違反であるが、前記その調書等は公開できない」という説明であった。
よって、この裁判ではこの令状請求書内容と令状内容それらの記録調書が重要な争点であるから、本裁判官の職権で当該令状申請の内容とその執行調書を開示されたく送付嘱託の申立をするものである。
しかる後に、その違法性が指摘できると考える。
2(1)イ及び1(1)ウについて
被告は「違法の内容が趣旨不明であり認否・反論できないため、改めて主張さたい」「供述調書等の作成及び内容の違法性を具体的に主張さらた上、その違法性と裁判官による捜索差押令状発布との関連について」述べるよう求める。
前記の通り、調書が開示された後、それが捜索押収差押令状を発布した裁判官側の責任であると考えられれば、別に新潟地方裁判官を被告として裁判をもうけ、新潟県警にはこの件では争わない。
3(2)①アについて
被告の「原告の自宅と野島クリニック(中略)そのほかの捜索差押の執行は本件訴訟において対象としないと考えて良いのか」について、原告の自宅と野島クリニック、野島クリニックと同じビルの有限会社超ミネラル総研に対する捜索押収差押について違法であるので言及する。
4(2)①イについて
被告は「野島クリニックの従業員の誰が、どのような同様をしたことが、原告の精神的損害と、どう関係していたのか」を述べるよう求める。
原告は、最初から違法捜索になると捜査陣に忠告して捜索を中止するよう申し入れた。
従業員の狼狽振りは、一般人が警察の捜査が正当で犯罪扱いされる場合と同じ境地に立たされる程の強度のものと理解した。
原告は、従業員に対しそのショックを受けさせたという精神的な損害である。信頼関係が一時的に相当損なわれたと考えるのが妥当である。そのことによる原告の精神的損害は大きい。
5(2)①ウについて
被告は「「原告が従業員の信頼を取り戻し、仕事のやる気を回復させるために細かく気を配り業務を遂行した」と言うが、これが原告の精神的損害という趣旨か。そうであれば従業員の誰が原告に対する信頼を失い、仕事のやる気を失ったのか、そのためにどのような結果が生じたのか、さらに、原告が、従業員の誰に対して、どのような方法で、信頼を取り戻したり、仕事のやる気を回復することをしたのか、(中略)具体的内容を述べたうえで、それが、何故、原告の精神的損害といえるのか」を明確にせよと求める。
自分の勤める職場が、違法なことを行っているのではないかと疑われ捜索を受けて、全く精神的苦痛を感じない人間がいるであろうか。
一時的にしろ従業員が、野島クリニックがこれで消失し失業するかもしれないと考えざるを得なかったショックから回復するには、原告は経営者として相当な時間がかかると考えた。
事実、この捜査が違法捜査で必ずや裁判で新潟県警の違法性を問うと従業員に固く約束する次第であった。
それにも係わらず、少なく設定した慰謝料にはこの件は含ませてない。
6(2)②アについて
被告は甲7号証の1ないし3について、関係者とは誰のことを指すのか、それぞれについて何時、どのような内容の電話問い合わせがあったのか具体的に主張を求めるが、これらはプライバシーの問題もあり、詳細を確認の上、追って述べる。
7(2)②イについて
被告は「上記の関係者からの問い合わせは、どの捜索差押執行に因るものなのか特定して具体的に述べられたい」と求める。
幸いにも、当該クリニックからのカルテ持ち出しは原告が阻止して難なく収まったが、同じ捜索令状でクリニックと同じビルの2階にある有限会社超ミネラル総研の家宅捜索で持ち出された顧客リストの中に、当該のプライバシーに触れる患者の氏名、住所、電話番号が含まれそれを新潟県警はプライバシーに触れると認知せず、原告の患者への電話による聞き込み捜査が行われた。
そこで、新潟県警の犯罪性は当該クリニックから「患者への電話聞き込みは患者が病気に関するプライバシーに関係するので、憲法違反である」から中止する警告意見書を先ずファックス送付を行った。そして、尚、継続していることを確認して三田警察署に被害届け(未受理だが、預かり受理)を出したので、被告はその違法性に気付いて、その後はなくなった。
8(2)②ウについて
被告は「原告の精神的損害は「患者を治そうとする気がそがれたこと」に限られると考えて良いのか」と問う。
違法性のある電話問い合わせで一部の患者は治療を中止したであろうと考えた時、あってはならない警察のプライバシー侵害と、それに呼応する治療の中止は死を意味し、医師としての無念さは精神的な痛手である。それにも係わらず、少なく設定した慰謝料にはこの件は含ませてない。
9(2)②エについて
被告は「上記のとおりとすれば、何時から何時までの間、(中略)どのような影響があったのか具体的に」述べるよう求める。
忙しい問診は継続し続けなければ患者の命が危ういので、問診の最中に気が削がれた訳ではなく、全般的に雑務や捜査に対して考えることが増え、全体として通常の仕事より支障が出たのは明らかである。
家宅捜索を受けても全く普段通りなどという人はいないはずである。
それにも係わらず、少なく設定した慰謝料にはこの件は含ませてない。
10(3)アについて
被告は「「リーク」とはどのような意味で使用しているのかを明らかにしたうえで、新潟県警の誰が、何時、どの報道機関の誰に対して、どのような内容の違法操作をリークしたと言うのか」述べよと求める。
これは一般的な警察発表をリークしたと表現したに過ぎない。報道向け発表だから、新潟県警が普通にとっている態勢であって、被告自身が自らの言動・行動で周知のことと考える。
11(3)イについて
被告は「何時、どの報道機関による、どういう内容の報道内容がされたことを問題としているのか」述べよと求める。
警察発表から各報道機関の自由な報道が始まる。報道機関も無数に存在して報道は自由である。
今のインターネットの時代では報道は個人的な掲示板に移行し、オープンであるから新たな報道が連鎖すると考えられ、全ての報道を網羅することは不可能である。
その中で、甲2~甲6号証はその一端であり、各メディアの詳細は証拠説明書に述べる。
そこで確かなことは被告が責任、自信をもって警察発表したからには、後に続いて連鎖する報道を誰も制止できないということである。よって、最初に間違って発表した被告にほとんどの責任が先ずあることが指摘される。
12(3)ウについて
被告は「どの内容が「超ミネラル」を違法物質と疑うことになるのか明らかにされたい」と述べる。
報道内容はインターネットの掲示板等を含めて膨大になった。発表しなければ報道はないのだから、被告らの責任は明白で、因果関係を述べる必要がない。違法物質を疑わせる報道、掲示板があっても、それは発表後の話で、ここでは報道や掲示板での記載からの損害は争点でない。争点は被告の警察発表そのものである。
13(4)アについて
被告は「新潟県警警察官の誰が、何時、患者の誰に対して、どのような内容の聞き込み捜査をしたことが違法となるのか」述べるよう求める。
プライバシーの侵害とは、病気を他人に知られたくないという権利である。憲法で保障する基本的な人権の侵害を損なう行動は、先に述べたように、聞き方の問題ではなく、聞く行為が問題になる。
であるから、電話問合せそのものが違法である。最初、新潟県警は違法と気付かず電話して、原告が忠告しても違法と思わないで継続し、三田警察署に被害届けを出すに至って初めて違法性に気付くあたりが、この場に及んでまたもとんでもないここでの質問と関係するようだ。
14(4)イについて
被告は「「岩の力」愛飲者に対する聴き込み捜査についても、新潟県警警察官の誰が、何時、愛飲者の誰に対して、どのような内容の聴き込み捜査をしたことが違法となるのか」明らかにするよう求める。
原告は、個々の警察官の電話内容を問うのではなく、電話の聴き込み捜査そのものが違法であると述べているのである。
15(4)ウについて
被告は「「原告が医師として深く心を痛めている」と主張するが、それが原告に対する不法行為の内容と考えて良いのか明らかにされたい」と述べる。
本来患者のプライバシーを守るのは医療機関の義務であるが、商品発送の超ミネラル総研から患者氏名等が間違って押収され、その聞き込み捜査自体を最初は違法と知らずに新潟県警はその捜査を行った。すぐにプライバシーの侵害になると忠告し、最終的に三田警察署への被害届けを出したら電話聞き込みは収まったという経緯がすべてを物語っている。
プライバシーを守れなかった無念さを意味する。
16 2(1)について
被告は、「何故、被告干場の不法行為となるのか明らかに」と述べる。
一般的には部署の長が形式的に責任を総合して全体責任をとらせられるが、最初から薬事法の表示違反という軽犯罪で家宅捜索に及ぶ重犯罪に格上げするからには、事前に部署の長まで入れて恣意的に捜査を起こした蓋然性は高い。
また、プライバシーの侵害については、最初に違法性をクリニックから指摘し、継続してプライバシー侵害の違法捜査が継続し、最終的にはその違法性に気付いた。とすると、部署の長まで関係した可能性があるとして、被告千場氏の不法行為としたものである。
2(2)について
被告は「本件訴訟は、国家賠償法に基づく訴訟であり、被告となり得る者は行政主体たる国又は地方公共団体であり、当該公務員個人が損害賠償責任を負わないことは確立された判例であるが(中略)は例と本件訴訟とは異なるのか」と問うが、これらの判例と本件は違い、先の準備書面でも述べたが、東京地方裁判所昭和46年10月11日言渡昭和44年(ワ)第12119号事件判例によれば、「加害公務員に故意又は重大な過失があったときは自らも民法第709条の規定による責任を負担せざるをえず、そのような場合の加害公務員と国又は公共団体の責任は不真正連帯債務の関係に立つものと解するのが相当である。」とある。
本件は、まず捜索令状を取るに至るまでの調書類作成において故意又は重大な過失があると考えるものである。
3(1)①アについて
被告は「原告に対する信用失墜の具体的内容」を述べるよう求める。
報道が超ミネラル「泉力」とあり、既にインターネットでは有名な原告と「泉力」の関係が容易に結び付けられ、法律違反が原告の周りで発生したという情報の発信がなされたのである。
信用の失墜は販売実績に反映するからクリニックの直接販売実績で示すと、「岩の力」に名称が変わっていたにも係わらず、平成21年9月以降、売り上げが落ち込み、平成21年10月~平成22年1月までは平均477.5本であり、前年度10月~翌1月までの平均638.75本の売上から大きく落ち、平成22年11月現在でも販売数は減少したままである。
インターネットでは、「超ミネラル水」を提唱してきた原告は大変有名であり、検索サイトgoogleやyahooにて「泉力」「超ミネラル水」を検索すると、すぐに「野島式超ミネラル水」という言葉が上位にヒットする。現に、TV番組に出ることもある弁護士が、この事件を上げ、名指しで原告の責任も大きい、というコメントを残しており、色々な掲示板でこのコメントが引用されている。
「超ミネラル水」を提唱している医師といえば原告なのである。
商品の売上が落ちていること、即ち原告の信用も失墜しているということである。
3(1)①イ
被告は「アについて述べた上で、これが「岩の力」の注文減少に、どのように影響したのか具体的な因果関係を述べられたい」と求めるが、報道がされた直後から明らかに販売実績が落ち込んでいるのは既に述べたとおりである。
3(1)①ウ
被告は「「注文の減少」と「利益の減少」とは異なるため、現実の損害発生がどの程度だったのか具体的に述べられたい」と求める。
利益の減少は一般的に販売数が5割落ちると、それ以上に落ちる。
よって、利益の減少は細かく計算の上、追って述べる。
3(1)②
被告は「誰が、違法物質と疑うのか、仮に、違法物質と疑われたことがあったとして、原告の信用をどの程度毀損したというのか」述べるよう求める。
違法物質ではなく、薬事法違反を末端業者がしたという報道である。しかし、単なる表示違反と薬事法違反では、報道を見る側には大きな違いであり、一般的に薬事法違反と報道されれば、表示と違う違法なものが入っていたのではないか、と受け止められ、今まで全く超ミネラル水を知らなかった人にまで悪い印象を持たれることは当然のことであり、これらは信用毀損である。
販売数の激減でしか、その信用の毀損は表されないので、先にその販売実数を示している。
3(1)③アについて
被告は「新潟県警のどの捜査と、どのような内容の報道に因って、何時、どのような原告の医師営業上の業務が妨害されたのか」述べるよう求める。
新潟県警から一旦外部に発せられた違法内容は,その真偽に係わらず、メデイアの自由意志で尾ひれが付く。それを考慮して報道むけ発表すべき被告は大いに責任がある。
ここでの業務妨害はクリニックの直販の販売数の推移で判断することが出来る。
3(1)③イ、④について
被告は「業務妨害の内容を明らかにしたうえで、その損害はどの程度のものであったかを具体的に述べられたい。財産的損害が金2000万円をくだらないとした根拠を具体的に述べられたい。」と求める。
販売数からみて、平成22年11月現在までだと3000万円を越える。販売数の推移は追って提出する。しかし、その損害額は、損害賠償請求額より少ない額である。
3(2)について
被告は「新潟県警によるどの捜査と、報道機関によるどのような内容の報道に因って、何時、誰から、原告が違法物質を取り扱っているのではないかと疑われたのか」述べよと求める。
21で述べたように、一般的に「薬事法違反」と報道された場合、表示と違う違法なものが入っていたのではないか、と受け止められる場合があるのである。
報道機関の責任は違法物質に言及したとしても、追及できない。
精神的な損害は、それを報道するようにメディアに発表した被告に全責任がある。
その理由は恣意的に捜査したのは新潟県警であるからである。全責任は被告らにある。
3(3)について
被告は「損害賠償請求金額金500万円の内訳を明確に」と求める。
概算の損害額は1億円を下らないが、本損害賠償は少なく請求しており、内訳は準備書面1でも述べたとおり、財産的損害は金200万円、原告の医師営業上の業務妨害、信用毀損、名誉毀損の著しい大損害に対する慰謝料として金300万円を請求するものである。
第2 原告の主張
1 そもそも、新潟県警が捜査した件は、薬事法違反の案件ではなかった。薬事法で問題となる「薬効がない物質を薬効があるかのように表示することを禁止する」ことから逸脱し、法の適用を「薬効があっても科学的な証明がなければ薬事法違反とする」ことにまで広げ、更にエスカレートして「免疫力が高まる」という表現が「薬効がないのに薬効がある」ように記載した薬事法違反とみなすという法規改正するに及んだものである。
更に「そのように表示したものは未承認医薬品である」とし、医薬品取締りの無免許の容疑にするという、取締りありきの大号令下にひどい取締りをするに至った。
医薬品ではない非医薬品を薬事法違反のため未承認医薬品に格上げするという暴挙は、昭和57年最高裁判決(昭和56年(あ)第58号)に準じているが、この判例に於いては薬理効果効能を露骨に表示し、錠剤の形にするという悪質業者であったために、未承認医薬品とするという付記が2ページ強に述べられている。医薬品にするためには、フェーズ1,2,3という段階の治験を経て、慎重に検証がなされる必要があり、5年も10年もかかる気の遠くなる話である。
新潟県警は、取締るために「免疫力が高まる」と記載したからといって、簡単に「薬効がある未承認医薬品」に値するとし、医薬品を扱ったとする三段跳びの薬事法違反のそれにしてしまったものである。
もともと医薬品でないものは医薬品ではない。医薬品ではないものは未承認の医薬品であると判断するのは論理の乖離がある。論理の飛躍があり、矛盾である。
百歩譲って表示違反だったとしても、逮捕、家宅捜索に及ぶべくもない非常に軽い違反なのである。
そもそも、昨年ベストセラーになった「超訳 ニーチェの言葉」の中にも、「もっと喜ぼう。ちょっといいことがあっただけでも、うんと喜ぼう。喜ぶことは気持ちいいし、体の免疫力だって上がる。」という記載がある。免疫力が上がることは病気が治ることではない、ということは全世界において周知の事実なのである。
2 これらの恣意的と思われる違法性を明らかにするために、原告はそれら捜索令状を取るに至った調書と、捜索した記録一切、押収物件目録一切の送付嘱託の申立をなすものである。
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